エリート上司の甘く危険な独占欲
「俺のこと、相原さんに話してたのか?」
「いいえ!」
華奈は柊一郎を見た。彼はふいっと目をそらす。
「同じエレベーターに乗っているのに、相原さん、相当思わせぶりだったぞ」
「私は誰にも話していません。信じる信じないはお好きにどうぞ」
華奈はそう言い捨て、さっさと貿易管理部のオフィスに入った。窓を背にしたデスクにはすでに貿易管理部長が座っていて、華奈は「おはようございます」と声をかけた。部長の隣の席が柊一郎のデスクで、部長のデスクの前と柊一郎のデスクの前に、それぞれ四つのデスクが二つずつ向き合う形で置かれている。華奈の席があるのは柊一郎の席の前のシマで、彼からちょうど斜め前の位置になる。
付き合っている間、この距離でときどき目が合ったときに、秘密めいた笑みを交わすことがあった。その幸せだった時間を思い出し、華奈は首を軽く横に振って、ノートパソコンの電源ボタンを押した。
「おはようございまーす」
次々に社員が出社して、ほどなくして就業時間になる。月曜日の最初の仕事は、毎回同じだ。世界中の取引先から送られてきた英文メールを開封し、優先順位に応じて対応する。
「いいえ!」
華奈は柊一郎を見た。彼はふいっと目をそらす。
「同じエレベーターに乗っているのに、相原さん、相当思わせぶりだったぞ」
「私は誰にも話していません。信じる信じないはお好きにどうぞ」
華奈はそう言い捨て、さっさと貿易管理部のオフィスに入った。窓を背にしたデスクにはすでに貿易管理部長が座っていて、華奈は「おはようございます」と声をかけた。部長の隣の席が柊一郎のデスクで、部長のデスクの前と柊一郎のデスクの前に、それぞれ四つのデスクが二つずつ向き合う形で置かれている。華奈の席があるのは柊一郎の席の前のシマで、彼からちょうど斜め前の位置になる。
付き合っている間、この距離でときどき目が合ったときに、秘密めいた笑みを交わすことがあった。その幸せだった時間を思い出し、華奈は首を軽く横に振って、ノートパソコンの電源ボタンを押した。
「おはようございまーす」
次々に社員が出社して、ほどなくして就業時間になる。月曜日の最初の仕事は、毎回同じだ。世界中の取引先から送られてきた英文メールを開封し、優先順位に応じて対応する。