エリート上司の甘く危険な独占欲
とはいうものの、メールのやりとりをするのは、華奈たちと同じく貿易事務を担当する外国の社員たちだ。長くやりとりしていると親しくなる人たちも出てきて、メールの文末にプライベートな話が書かれていることもある。
『夏に彼と日本に旅行に行くことにしました! もちろん、御社の販売店に足を運んで、我が社の製品がどのように売られているかも見に行くつもりですけど、お勧めの観光地があったら教えてくださいね!』
トルコの貿易事務担当者からのメールを読んで、華奈は口元をほころばせた。本文は、先週末に発注した、キリムと呼ばれる平織りの織り物で作られたランチマット類についての返信なのだが、同じ年頃の女性として、その文章からにじみ出た幸福感がうらやましい。
「はぁ」
知らず知らずため息をついてしまう。
「華奈さん……なにかトラブルですか?」
横の席から麻衣に心配そうにささやかれ、華奈は急いで笑顔を作った。
「ううん、そんなんじゃないよ。大丈夫」
(ダメダメ、仕事に私情を持ち込んじゃ)
華奈は気持ちを引き締め、仕事に集中した。
『夏に彼と日本に旅行に行くことにしました! もちろん、御社の販売店に足を運んで、我が社の製品がどのように売られているかも見に行くつもりですけど、お勧めの観光地があったら教えてくださいね!』
トルコの貿易事務担当者からのメールを読んで、華奈は口元をほころばせた。本文は、先週末に発注した、キリムと呼ばれる平織りの織り物で作られたランチマット類についての返信なのだが、同じ年頃の女性として、その文章からにじみ出た幸福感がうらやましい。
「はぁ」
知らず知らずため息をついてしまう。
「華奈さん……なにかトラブルですか?」
横の席から麻衣に心配そうにささやかれ、華奈は急いで笑顔を作った。
「ううん、そんなんじゃないよ。大丈夫」
(ダメダメ、仕事に私情を持ち込んじゃ)
華奈は気持ちを引き締め、仕事に集中した。