エリート上司の甘く危険な独占欲
柊一郎は厳しい口調で華奈に言った。温厚だと思っていた彼が、人前で声を荒げているのに驚いて、華奈は座ったままなにも言えずにいた。ミスをした張本人の麻衣は真っ青だ。オフィスに気まずい空気が流れたが、それを颯真が破った。
「それは違うな」
「なにが違うと言うんです?」
柊一郎は表情を和らげたものの、ムッとした声で颯真に尋ねた。
「先月と言えば、まだ川村主任は主任に昇進していない。この発注をチェックしたのは、三月の時点で相原さんの直属の上司で、発注責任者でもあった佐脇課長、キミだ」
颯真は麻衣のノートパソコンを動かして、モニタを柊一郎の方に向けた。柊一郎はモニタを覗き込み、そこに表示されている発注責任者の欄に彼自身の名前を見つけて大きく息をのんだ。
「三月は……確かに私が責任者でしたが……まさか私が、こんなミスに気づかないなんてことが」
信じられない、と言いたげに目を見開いたが、すぐに颯真に向き直る。
「申し訳ありません。すぐに対処させます」
「“対処させます”? “対処します”ではなく?」
「それは違うな」
「なにが違うと言うんです?」
柊一郎は表情を和らげたものの、ムッとした声で颯真に尋ねた。
「先月と言えば、まだ川村主任は主任に昇進していない。この発注をチェックしたのは、三月の時点で相原さんの直属の上司で、発注責任者でもあった佐脇課長、キミだ」
颯真は麻衣のノートパソコンを動かして、モニタを柊一郎の方に向けた。柊一郎はモニタを覗き込み、そこに表示されている発注責任者の欄に彼自身の名前を見つけて大きく息をのんだ。
「三月は……確かに私が責任者でしたが……まさか私が、こんなミスに気づかないなんてことが」
信じられない、と言いたげに目を見開いたが、すぐに颯真に向き直る。
「申し訳ありません。すぐに対処させます」
「“対処させます”? “対処します”ではなく?」