エリート上司の甘く危険な独占欲
そうして麻衣がレターを作成し、華奈は目を通して修正箇所をアドバイスした。そのレターを今度は柊一郎がチェックする。メガネの奥の目を細めてパソコンのモニタを睨む柊一郎を見ながら、華奈はふと疑問に思った。
(柊一郎さんって仕事に対する姿勢が慎重で丁寧だと思ってたんだけど、どうしてこんな初歩的なミスを見過ごしちゃったんだろう)
もちろん麻衣がミスしないにこしたことはないが、それをチェックするベテランの柊一郎までミスに気づかなかったなんて意外だ。
華奈が考えを巡らせているうちに柊一郎は確認を終えた。
「いいだろう。今後の取引に支障が出ないような文面になっていると思う」
「ありがとうございます」
華奈の隣で緊張した表情で立っていた麻衣が、ホッとしたように言った。
「だが、こんな簡単なミス、いただけないな」
柊一郎にチクリと言われて、麻衣は下唇を噛んだ。
「だいたいこんなミス、普通なら考えられないぞ。確認者が気づかなくても仕方ないじゃないか。貿易事務では数字が一桁違うだけでも大問題になる恐れがある。それを二重発注だなんて、どうかしてる。今回のキミのミスのせいで、私の、そして貿易管理部の評価が下がった。こんなことじゃ困るんだ。しっかりしてくれ」
(柊一郎さんって仕事に対する姿勢が慎重で丁寧だと思ってたんだけど、どうしてこんな初歩的なミスを見過ごしちゃったんだろう)
もちろん麻衣がミスしないにこしたことはないが、それをチェックするベテランの柊一郎までミスに気づかなかったなんて意外だ。
華奈が考えを巡らせているうちに柊一郎は確認を終えた。
「いいだろう。今後の取引に支障が出ないような文面になっていると思う」
「ありがとうございます」
華奈の隣で緊張した表情で立っていた麻衣が、ホッとしたように言った。
「だが、こんな簡単なミス、いただけないな」
柊一郎にチクリと言われて、麻衣は下唇を噛んだ。
「だいたいこんなミス、普通なら考えられないぞ。確認者が気づかなくても仕方ないじゃないか。貿易事務では数字が一桁違うだけでも大問題になる恐れがある。それを二重発注だなんて、どうかしてる。今回のキミのミスのせいで、私の、そして貿易管理部の評価が下がった。こんなことじゃ困るんだ。しっかりしてくれ」