エリート上司の甘く危険な独占欲
 あまりにしつこくネチネチとした言い方に、華奈はそれまでの彼の態度もあって、ついに我慢ができなくなった。

「失礼ながら申し上げますが、“貿易事務では数字が一桁違うだけでも大問題になる恐れがある”んですから、“確認者が気づかなくても仕方ない”、なんてことは通用しないと思います」

 柊一郎はじろっと華奈を睨んだ。

「本当に失礼だな」

 聞く耳を持たない彼の言葉に、華奈は唇を引き結んだ。柊一郎は麻衣に目を向ける。

「レターはこれで問題ないから、送信しておきなさい」
「はい。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

 麻衣はそう言って席に戻り、OKの出たレターを送信した。

「明日になったら、きっと先方から納得したって返事が来るよ」

 華奈が声をかけると、麻衣はかすかに微笑んだ。

「はい……。華奈さん、遅くまで付き合ってくださってありがとうございました」
「いいよ、大丈夫。気をつけて帰ってね」
「はい」
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