エリート上司の甘く危険な独占欲
麻衣はデスクを片付け、柊一郎にもう一度謝りの言葉を述べてからロッカールームに向かった。彼女のあとを追おうとする華奈を、柊一郎が呼び止める。
「川村主任」
「はい」
「話がある」
なんの話だろう、と思いながら、華奈は立ち上がって柊一郎のデスクに近づいた。
「お先に失礼します」
麻衣の声が聞こえ、華奈は振り返って「お疲れさま」と声をかけた。麻衣はトボトボとオフィスを歩き、ドアを開けて出ていった。それを見届けて、柊一郎がおもむろに口を開く。
「よくも俺に恥をかかせてくれたな」
華奈は眉を寄せた。
「どういうことでしょう?」
「とぼけるな。夕方、一之瀬部長がさっきのミスを知らせに来たときだ。青柳部長の前でよくも……」
柊一郎は唇をわなわなと震わせていたが、やがて大きく息を吐き出した。今度は嫌味な口調になる。
「まあ、あれだけ一之瀬部長がおまえをかばった理由もわかるけどな」
「え?」
「昼休みに見たぞ。仲良く手をつないでこのオフィスから出てきたじゃないか」
「えっ」
華奈は息が止まりそうになった。颯真に手を引かれて出てきたところを、誰かに――よりによって柊一郎に――見られていたとは思わなかった。
「川村主任」
「はい」
「話がある」
なんの話だろう、と思いながら、華奈は立ち上がって柊一郎のデスクに近づいた。
「お先に失礼します」
麻衣の声が聞こえ、華奈は振り返って「お疲れさま」と声をかけた。麻衣はトボトボとオフィスを歩き、ドアを開けて出ていった。それを見届けて、柊一郎がおもむろに口を開く。
「よくも俺に恥をかかせてくれたな」
華奈は眉を寄せた。
「どういうことでしょう?」
「とぼけるな。夕方、一之瀬部長がさっきのミスを知らせに来たときだ。青柳部長の前でよくも……」
柊一郎は唇をわなわなと震わせていたが、やがて大きく息を吐き出した。今度は嫌味な口調になる。
「まあ、あれだけ一之瀬部長がおまえをかばった理由もわかるけどな」
「え?」
「昼休みに見たぞ。仲良く手をつないでこのオフィスから出てきたじゃないか」
「えっ」
華奈は息が止まりそうになった。颯真に手を引かれて出てきたところを、誰かに――よりによって柊一郎に――見られていたとは思わなかった。