エリート上司の甘く危険な独占欲
 健太はクスッと笑う。

「そんなことないよ。簡単に言うと、クライアントが抱える経営課題を解決するために協力するって感じかな」
「そうなんだ。なんだか大変そうだね」
「んー、そうだね。いくら経営学を学んでたからって、やっぱり現実的には企業の状況はそれぞれ違うから」
「そうだよね、理論だけじゃどうしようもないこともありそう」
「ああ、まさに!」

 健太は華奈をじぃっと見つめる。

「華奈って昔から聞き上手だったもんな。華奈と話しているとやっぱり楽しい」
「えーっ、またまたぁ」

 健太からの褒め言葉の連続に、華奈は困ってしまった。そのとき、店員がトレイにのせた定食を二人分運んできて、華奈はホッとする。

「お待たせしました」
「ありがとう」

 華奈は小さく会釈をした。健太は箸を取り上げる。

「おいしそうだね」
「でしょ。食べよ?」

 華奈が手を合わせて「いただきます」と言い、健太は懐かしそうに目を細めた。
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