口づけは秘蜜の味
惑わせないで
そしてあの日
逃げ帰ってきた訳だけれども…

また食事に行くだなんて

(そんなに信用ないのかな…)

秘密……神上さん
私、バラしたりなんてしませんから!

そんな風に思いながら……仕事はしっかりこなした

最近売れ筋の雑貨についてを先日女性社員からヒヤリングしてデータをまとめ

新商品の企画案として練り上げていく

(やっぱり…可愛い系なのかなぁ)

可愛らしい、シンプルなラインが人気なのは
ここ数年の流れのようだ

私自身は『ルチア』で買うならアンティークで少し
キラキラしたモノが好きだが…

売れなければ意味がないから、そのあたりは加味して
企画書をつくっていく

それをチームにおろして話し合い、部の会議にかける

中々決まらないし、却下の案も多いけれど
その緊張感はやり甲斐があってとても好きだ

あっという間に終業の鐘がなる

ちらっと視線を走らせると神上部長は呼び出されて
離席していて、このまま逃げてしまおうか?

などと悪い考えも沸いてきたが

(でもあとでまた捕まるし……)

上司と部下だから毎日顔を合わせるわけだし…仕方ない

…私が神上さんをさっさとただの上司として見られるようになれば問題ないのだ

(そう、これは私の問題だ……)


神上さんが戻るまで、とデータ整理をしていると
スマートフォンが鳴る…知らない番号だが名乗らずに出てみた


「はい」

『お疲れ様…終われそうか?』

< 14 / 49 >

この作品をシェア

pagetop