口づけは秘蜜の味
「マカロン好きです!……有難うございます!」

うれしくて深々と頭を下げると神上さんは
目は変わらないけれど口許だけで微笑んだ

「それはよかった…、じゃあ、また明日会社で…」

「はい!」



エレベーターで上がっていくと

気持ちもふわふわ、部屋に入るとすぐにテーブルに置いて…神上さんからのマカロンの箱を開けた

そこには…

アルファベットがプリントされたカラフルなマカロンが左から

j、x、o、o、v 、j、b ?

の配列で置かれていた

あれ、とそこで気がつく

先日……訂正箇所と共に丸が付けられたアルファベットに似ている……


(やっぱり……何か意味があるんだろうか?)

頭を捻って考えたけれど分からず

取り敢えずと食べる前にスマホで写真を撮ってから
1つ口に入れた

ホロホロと口の中で溶けるそれは幸せの味だった

(舞花……か…)

甘く呼ばれて嬉しいけれど同時にすぐに問題に直面する

婚約者の居る人


たまたまあの日は家にいなかったけれど
神上さんには決めた人がいる

どうしたらいいのかな……

膝を抱えてため息を付いた

どうせなら優しくしないで欲しいのに

甘い呼び声、蕩けるような口づけ


諦めるには好きになり過ぎている









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