口づけは秘蜜の味
続いてコツコツと言うハイヒールらしい足音

ボソボソと話す声が聞こえた

「相談って?なんだ……会議室を取ればいいんじゃないか?」

この声…神上さん……

「あの……私、好きなんです!神上部長…」

え、告白?

なんと答えるのだろうとドキドキしていたら

神上さんの冷たい声が響いた

「要件はそれだけか」

冷たい声…

「え…あの……」

戸惑う女性小声に神上さんがさらに続ける

「仕事の相談だと言うから時間を割いたんだが……そうでなければ時間外にするのが常識じゃないのか」

「でも今は昼休み…」

「ああ…次に13時からは会議が入っていて今日は短い昼休みなのは分かるよな?」

確かに遅くとも12時45分には準備に入らなくてはならない、だから私も外出せずにここで食べているわけだから…

「え…」

「まぁ君はいつもギリギリに入ってくるから周りが早く準備しているのにも気付かないか」

ピシャリと言い放つ言葉に相手が絶句しているのが分かる

「単刀直入に言う、間に合ってるし仕事もまともにしない君の思いに応えることは今も今後もない、好きになる可能性はない」

「……ひどい…もう、いいです!!」

あまりにもストレートな断り方に女性が叫んだ

バタンとまた扉が開き…コツコツと足音が足早に去っていった

その後、どうやらため息をついたらしい神上さん

私も思わず息を吐き出してしまう……

すると…

カランカラン

(あ、ヤバ……)

膝からお弁当の蓋が転げ落ちて音が鳴ってしまう


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