口づけは秘蜜の味
ますます好きになる
その後そっーと拾い上げたけれど既に時遅し……

「こんな所に誰かと思えば…舞花…ここに居たんだな」

「はい…会議まで時間ありませんし…ササッと食べて戻ろうかと…」

気まずくなって見上げると神上さんは唇を緩めた

「キミは…そうするんだろうな……」

まさに先ほどの会話の流れかと……少し恥ずかしくなるのでもう先に聞いていたことを白状した

「すみません……聞くつもりはなかったんですが」

「いや、いいよ……先客は舞花の方だろう?謝ることじゃない……ただ、まぁ……あまり……なかったが…」

「え?」

何やら神上さんがブツブツと言っていたけれど聞き取れず
にいると手を左右に振っていやいや、何でもない

と言われてしまった
そして、なぜか隣にストンと座りこんできた

「はぁ…時間をロスしてしまったな…食事抜きで参加するつもりではいたが…なんだかなぁ…」

空を仰ぎ見た神上さんのサラサラの髪が風に靡いて
私の腕に触れる…

ドキドキするからやめてほしい…
誤魔化すように…

「あ、ではこれ…召し上がりますか」

残業用に別に握ってきていたおにぎりを差し出した

「いいのか?」

「はい……残業用に持ってきたので…予備なんです」

じっとそれを眺めているので…あれ嫌だったかなと

「す、すみません…私が握ったのなんて…」

「いや……くれるなら食べたい…いいのか?」

手を握りすごく近くで大きなキラキラした目で言われると苦しくて

「どーぞどーぞ!」

と、押し付けるように渡した

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