口づけは秘蜜の味
週末……

のんびりしようとしていたら

なんと…私のミスによる出社になってしまった

(最悪だ……)

チームが作った企画書のデータが一部ズレていたようで
先方から修正を求められたと営業から指摘が入り

それに気づいたのが金曜日の夕方

締め切りは一日伸ばしてもらい…休日返上で仕上げることになった

「申し訳ありません」

「いい、それよりできる限り早く修正して提出するんだ」

「はい…」

「大丈夫だ、まだ挽回できる」

出張中で報告した神上さんの電話口の声は無機質で
特に感情は感じられなかったが
忙しいところに本当に申し訳なかった…

私は会社そばのホテルに泊まり翌朝早朝から修正に取り組んでいる

カタカタと私のタイピングの音だけが響くフロア

何をやってるんだろう………

こんなミス初めてだ…

チームで上がってきたものをチーフ権限で出したものだったから余計に悔しい

すると…足早に人がフロアに入ってきた

「早いな舞花…」

「え?おはようございます……神上部長出張中じゃ?」

出張中の筈の神上さんだった

神上さんは私に近づくと頭をポンポンと軽く叩いた

「今朝戻った……心配するな、ちゃんとカバーしてやる…そのための上司だろう?……どこまで行った?」

すぐに仕事モードに戻り
デスクに座る神上さんはいつも通り冷静な視線でこちらを見た

「昼前には終わらせるぞ」

「はい!」

そこからは必死でデータを追いかけた
< 27 / 49 >

この作品をシェア

pagetop