口づけは秘蜜の味
涙が自然に流れていく

甘い神上さんの声にまだ身体が耳が溺れていたのに

辿り着いた地下鉄の駅は
休日のまだ暗い朝は人も少なくて泣いている私なんて誰も気に止めないから楽だった

ベンチにぼんやり座っていると…
膝に抱えた荷物が少しだけ硬いものが当たるような気がしてそっと開く

(ん??なんだコレ…)

そこにはまたあのアルファベットの羅列そして

『シーザー』

と書かれたメモがついていた

(シーザー?)

入れたのは…間違いなく神上さんだろう

(悪戯するのが好きなのかな…)

そんな所もクールなのに可愛くて好きだなとか思っちゃう自分がバカみたいで…情けなくて泣きたくなる

だってそもそも婚約者がいる人を慰めるだなんて…都合のイイ女なだけ…
そんなのわかっていたのに


やがて来た電車に乗り
家に着いてすぐにベッドに潜り込んだ

…疲れからかしっかり熟睡してしまったらしく

気づけば部屋からはかなり明るく照る太陽が見えた

(あー日曜日…半分終わっちゃった…)

テーブルに投げ出してあったスマホを開くと充電も切れていたので充電器に差し込むと通知が幾つも上がる

「え??」

びっくりしてスクロールしていると……
朝から何件も神上さんからの電話、メッセージ…

(なんでこんなに?)
< 36 / 49 >

この作品をシェア

pagetop