口づけは秘蜜の味

そばに居させて

びっくりしてそれらを見ていると

ピンポーン

呼び出しのインターフォンが鳴るので
モニターを覗き込んで…思わず叫ぶ

「わっ！」

「舞花！居るなら開けてくれ！」

乱れに乱れた頭の神上さんがそこにいた

いつものぴしっとキメた彼はどこへやら……
幼く見えるその風貌に思わず笑みが出てしまうけれど
会えば切なくなるだから………

「な…あの、居ますけどお帰りください」

「は？居るなら、開けろ！……上司命令だ！」

ご近所迷惑になりそうなので仕方なく玄関を解錠した

「オートロックは…どうやって？」

(どうやって突破したんですか…)

「たまたま出てきた人居たから悪いとは思ったけど…滑り込んだ…あぁ良かった…居た…マジで探した…携帯も出ねーしメッセージは既読にもなんねーし」

やっぱり口調が違う…すごく砕けている…

神上さんは頭をガジガジっと掻くとしゃがみこみ…動かなくなった

「あの……？」

心配になって近寄ると……見上げるように神上さんが私に言った

「お前さ、舞花はさ、オレを買ったつもりなわけ？」

「え？買う？」