永遠の恋を君に
「沙夜香ちゃん!おはよう。」

誉さんが朝食を部屋に運んで来た。

「おはよう!誉さん。」

ふと顔をあげると…

「茶色い髪!」

誉は驚いたように沙夜香を見た。

「茶髪がどうかした?」

「ううん。なんでもない!」

沙夜香がわらって誤魔化すと、誉もそれ以上は何も聞かずに部屋を出ていく。

朝食はみんなバラバラで食べる。時間が合わないから。

「昔のアルバムってあるかしら?」

夢で見たあの人を思い出したい。沙夜香はその一心だった。


多分私は彼の事を好きだった。

生まれつき、酷い喘息を持っていた沙夜香。
生まれてからしばらくの間は病院で入院生活だった。
もちろん、最新医療設備と最高のセキュリティを誇る私立病院。
外来患者も入院患者も、名の通った家の人達だった。
入院患者はみんな個室。小さかった私には寂しかった。
だけど、私はその病室が大好きだった。

ーーーーなぜ?

気が滅入りそうになる。

思い出そうとすると頭が痛くなる。
これ以上考えてはいけないと、体が制する。

でも1つだけ思い出した。

ある日の夜、突然窓ガラスが割れた。
大人の人が私を囲んで…

そこからの記憶がない。気付いたら、自分の屋敷にいた。

パパとパパの専属執事さんと、メイド長のおばあちゃん。

みんな涙ぐんでた。

自宅治療に変わって、すっかり体調も良くなった頃。たしか初等部に通ってた頃。
私のもとに誰かが訪ねてきた。

あれは……誰だったんだろう?
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