永遠の恋を君に

「沙夜香～！」

校門をくぐったすぐ後、聞き覚えのある声に呼ばれて振り返ると初等部からの友達である園澤 瑠璃子（そのざわ るりこ）がこちらに手を振って走っていた。

「おはよう、瑠璃子！」

沙夜香の横に並び、走って乱れた髪を整えながら瑠璃子は興奮気味に話した。

「沙夜香！今のイケメン、専属執事さんでしょう？いいなぁ…」

「まだ専属に決めたわけじゃないけど、専属候補だよ。」

瑠璃子は沙夜香の話を聞いていないのかどんどん話を続ける。

「時枝家は青バッチかぁ…そりゃそうよね。園澤家は紫か緑だよ…しかもあんなイケメンいないと思うな。」

「私だって青バッチに似合う家じゃないよ。けど、確かに直樹さんはイケメンかも。」

「ねぇ沙夜香！あんなイケメンがずっとそばにいて好きにならないの？」

言われて言葉に困った。
この感じは好きなのか。ほとんど恋愛経験のない沙夜香にはわからなかった。

「答えないってことはもしかして図星！？執事と恋愛ね…ちょっと憧れちゃうわ。」

うんうん。と語るだけ語り尽くした瑠璃子は満足そうに頷いていた。

「もしも私が好きだとしても、直樹さんは私の事なんか好きになってくれないよ。」

「そりゃそうよ。お嬢様に手なんか出したら、お家破綻だもの。沙夜香も、時枝の一人娘なんだからいい所の社長令息と結婚しないと、財界から睨まれるわよ。」

「分かってるよ。」

瑠璃子に言われて頬を膨らまして文句を言う。

キーンコーンカーンコーン…

学園に予鈴のチャイムが鳴り響いた。

「いっけない！急がなきゃ！」

いつの間にか時間がすぎていた。だいぶ長い時間話し込んでいたようだった。
沙夜香と瑠璃子は教室に急いだ。