永遠の恋を君に
沙夜香は目をつぶって、2人が答えるのを待った。
「一ノ瀬誉、24歳です。冷泉学園157期生青クラスを卒業致しました。」
「東槻直樹、25歳です。誉と同じく、冷泉学園157期生青クラス卒業致しました。」
冷泉(れいぜい)学園。そこは、世界屈指の執事養成学校。初等部から大学までの一貫校で、クラスは能力順に色で分けられる。赤、黄、緑、紫クラスの上に設けられた、学年でトップ10人だけなれるのが青クラス。
学園を卒業した者は自分のクラスの色のバッチを付けて、階級分けをされる。
執事の職を降りるまで、全てのことが色で判断されるのだ。
「じゃあ、2人は初等部からの一緒なの?」
「いえ。私は高等部からの編入でしたので。」
直樹はそう言って沙夜香に紅茶を出した。
沙夜香の大好きなローズの紅茶。
甘い、ローズの香りが部屋に漂う。
紅茶を飲みながら、沙夜香は質問を続けた。
「誉さんは、何か趣味はあるの?」
「趣味は料理だね。昔から得意なんだ。勉強は全く出来なかったのに、料理だけ出来て。親父に凄く怒られた。」
誉はケラケラと笑って、その場の空気を和ませる。
沙夜香もつられて笑って、横にいた直樹の方を見た。
「直樹さんは?」
「私は本を読むことでしょうか?最近はイギリスの古い本を読み続けています。」
「2人とも見事に正反対ね。」
それからしばらくの時間が過ぎた。部屋に漂うローズティの香りも消えた頃、直樹が懐中時計を取り出した。
「そろそろ、昼食のお時間ですね。本日はラウンジでお召し上がりになりますか?」
そう言って直樹が立ち上がった時、ポケットから何かが落ちた。
沙夜香はその落ちた物を確かに見た。
小さな薔薇の花がついたペンダント。
その刹那、数時間前まで部屋に立ち込めていた薔薇の香りが蘇った。
酷い頭痛がして、沙夜香の目の前が真っ暗になる。
(しっかりしなきゃ…)
そう思うほどに、沙夜香の意識は遠のいていく。
誰かが沙夜香を抱きとめたが、もう足に力は入らなかった。
朦朧とする意識の中で懐かしい声が響く。
『ーーーーーーーー1輪の白い薔薇の花には特別な意味があるんだ。』
優しい声。懐かしい香り。
貴方は誰…?
沙夜香の記憶はそこで途切れた。
「一ノ瀬誉、24歳です。冷泉学園157期生青クラスを卒業致しました。」
「東槻直樹、25歳です。誉と同じく、冷泉学園157期生青クラス卒業致しました。」
冷泉(れいぜい)学園。そこは、世界屈指の執事養成学校。初等部から大学までの一貫校で、クラスは能力順に色で分けられる。赤、黄、緑、紫クラスの上に設けられた、学年でトップ10人だけなれるのが青クラス。
学園を卒業した者は自分のクラスの色のバッチを付けて、階級分けをされる。
執事の職を降りるまで、全てのことが色で判断されるのだ。
「じゃあ、2人は初等部からの一緒なの?」
「いえ。私は高等部からの編入でしたので。」
直樹はそう言って沙夜香に紅茶を出した。
沙夜香の大好きなローズの紅茶。
甘い、ローズの香りが部屋に漂う。
紅茶を飲みながら、沙夜香は質問を続けた。
「誉さんは、何か趣味はあるの?」
「趣味は料理だね。昔から得意なんだ。勉強は全く出来なかったのに、料理だけ出来て。親父に凄く怒られた。」
誉はケラケラと笑って、その場の空気を和ませる。
沙夜香もつられて笑って、横にいた直樹の方を見た。
「直樹さんは?」
「私は本を読むことでしょうか?最近はイギリスの古い本を読み続けています。」
「2人とも見事に正反対ね。」
それからしばらくの時間が過ぎた。部屋に漂うローズティの香りも消えた頃、直樹が懐中時計を取り出した。
「そろそろ、昼食のお時間ですね。本日はラウンジでお召し上がりになりますか?」
そう言って直樹が立ち上がった時、ポケットから何かが落ちた。
沙夜香はその落ちた物を確かに見た。
小さな薔薇の花がついたペンダント。
その刹那、数時間前まで部屋に立ち込めていた薔薇の香りが蘇った。
酷い頭痛がして、沙夜香の目の前が真っ暗になる。
(しっかりしなきゃ…)
そう思うほどに、沙夜香の意識は遠のいていく。
誰かが沙夜香を抱きとめたが、もう足に力は入らなかった。
朦朧とする意識の中で懐かしい声が響く。
『ーーーーーーーー1輪の白い薔薇の花には特別な意味があるんだ。』
優しい声。懐かしい香り。
貴方は誰…?
沙夜香の記憶はそこで途切れた。