私も彼に愛されたい!



「お疲れ様〜」

体育祭が終わり、みんな教室でぐたっとしていた。


「ひかる、もう我慢しなくていいんだよ。」

朱莉が私の隣で私の頭を撫でる。


「でも…っ」
「私はひかるに幸せになってほしい。」

朱莉…

その時、教室のドアが開く。

「ひかる、ちょっといいか。」

私を呼ぶ声。

「行っておいでひかる。」

私は朱莉に背中を押されて屋上へ向かった。



________________。



ガチャ…


重たいドアを開ける。

私を呼んだのは、

「どうしたの、九条くん。」


九条くんだった。


「お前、リレーあいつのこと応援しただろ」

「それは…っ」


どうしよう。
なんかされるかな。


「…てやる。」
「え?」

「解放してやる。」

「いいの…?」

九条くんからそんなこと言い出すなんて。
解放ってつまり、九条くんから離れていいってことだよね…?



「俺はあいつに負けた。
あいつに勝てっこなかったんだ。」






そう。
リレーで1位だったのは峻くんだった。

ほんのちょっとの差だったけど、
先にゴールしたのは峻くんだったのだ。



「もういいから、あいつのとこ行け」
「でも…」

戻れないよ…
九条くんから離れられたとしても戻れるわけない…そんな勝手な行動。


「行けっていうか、あいつから来たか。」
「え?」

後ろを見るとそこには峻くんが立っていた。


「峻くん…」

「じゃ俺帰るわ。」


九条くんはそう言って屋上を出て行った。






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