私も彼に愛されたい!


ひかるside

「あら?貴女昨日の?」

「あっ…」

亜美さん…

「うわー、酷い顔。
聞いたわよ、喧嘩したんですって?」

鼻で笑うかの様に私にそう言う。


「峻ちゃんが可哀想。何でこんな子と付き合ってるのかしら。私の方がいい女なのに〜」

そんなの…私が一番気になるよ。

何も言えずにただ立って居ると、
誰かが私の前に立った。

「ちょっと、アンタ好き勝手言い過ぎなんじゃない?」


…朱莉?

「なによ貴女。」

「流川の幼なじみだか、なんだか知らないけど、流川の事好きなくせに、その好きな人の彼女のこと馬鹿にする様な人はいい女だと思いませんけど?」

「なっ…!」

腹が立ったのか、亜美さんの顔が赤くなった。

「彼女の前でベタベタくっ付いて?
ただの淫乱女にしか見えませんけどー」

「ちょ、朱莉っ」

「アンタ何様なのよ!」

そう言って亜美さんが朱莉の事を引っ叩いた。

「「朱莉!」」

春くんと声が被る。

「…ほらね、こういうことする女を私は絶対いい女だと思わない。自分の感情だけで行動して周りの人のこと考えない。好きな人の幸せすら祝福できない。それで、いい女?ふざけないでくれる?」

朱莉は痛がる様子もなく、亜美さんにグサリと言葉で攻める。

「何よ何よ何よ…っ!!」

亜美さんは泣きそうになりながら教室を出て行った。

「朱莉…っ、ごめんねごめんねっ」

私は泣きながら朱莉に抱きつく。

「いや?私はスッキリしたし?
ひかるの為なら全然平気だよ!」

朱莉は私の頭をポンポンした。

かっこ良すぎるよ…

春くんは急いで氷を持ってきて朱莉の頬を冷やしていた。

「朱莉無茶すんなよ…」

春くんは心配そうに、でも誇らしげに。


私も峻くんと話さなきゃ…
朱莉が戦ってくれたんだから…




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