十人十色恋模様
「あの!」


放課後、家に帰ろうと玄関で靴を履き替えている時だった。


「木山壱乃さんですよね?」


誰かわからないけれども、男の人に声をかけられた。


学生服で校舎内にいるということは、同じ学校の人だとわかる。


見た目は黒髪、黒縁メガネで真面目そうな印象を受けた。


「……はい。木山です」


と返すと、彼は勢いよく直角にお辞儀をする。


「え……あ、あの!?」


当然ながら困惑する私。


彼に対してなんと言ったらいいのかさっぱりだ。
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