十人十色恋模様
「お、俺、三条海斗(サンジョウカイト)と言います。怪しいものじゃないです」


三条と名乗るこの人は、お辞儀をしたまま話を続ける。


「帰ろうとしているところ申し訳ないのですが、少しだけ待っててもらえませんか!?」


お願いしますと、今にも土下座をする勢いだった(ほぼしていた)ので、私は慌てて彼に言った。


「ど、土下座とかしないでください!!あと顔を上げてください!待ちますから!」


「本当ですか!?」


「嘘つかないですから」


「ありがとうございます。それじゃ、少し待っててください」


そう言うと彼は走ってどこかへ行ってしまった。


一体なんなんだ。
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