十人十色恋模様
疑問は膨れ上がるばかり。


「ふぅーっ」


「仁くん、落ち着いた?」


「うん。柄にも無く動揺した。ごめん」


私は首を横に振る。


こんなに動揺する仁くんは初めて見たかもしれない。


幼馴染でずっと一緒にいるのに、初めて。


「さ、さっきのやつ……聞いて、た、よな?」


「うん」


「あ、あれはさ。その〜えっと」


仁くんは目を泳がせ、言い訳を考えている様子だった。


私はこの時、直観的に感じた。


というか、長年の付き合いから察した。


このままだとはぐらかされると。
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