十人十色恋模様
そして彼は私のすぐ前まで来ると。


「すみません。少しいいですか?」


そう声をかけてきたのだ。


「は、はい!」


声をかけられると思ってもいなかったので不自然に返事が裏返った。


恥ずかしい。


穴があったら入りたいくらいだ。


「ずっとここにいましたか?」


「はい……ずっといましたが」


「三……黒髪、黒縁メガネの生徒来ませんでしたか?」


それってもしかして。


「三条海斗くんでしょうか?」
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