十人十色恋模様
「お前さ、からかうんじゃなくて素直になればいいんじゃない?」


四季と宇月が距離を縮めるには、まず、宇月のその態度をどうにかする必要がある。


そう思った俺は素直になれと提案していた。


「どうしたらいいんですか?」


「んー。例えば……可愛いと思ったら『可愛い』と言うとか」


「それ……」


宇月は1度だけ俺から目線を外し、双葉を見る。


そしてもう1度、俺の方を向くと。


「『気持ち悪い事言わないでよ』と言われて終わるのが目に見えるんですが。それに、新見先輩みたいに気軽に可愛いとか言えないと思います」


「……うぐっ」


今の言葉の裏に宇月の心の声が聞こえた気がした。
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