【完】雨恋〜雨上がりの空に恋をする〜
目標に向かって前に進むんじゃなくて。
階段を登るように上へ進んでいた。
言いかけた言葉をぐっと飲み込んだ。
「先生。」
「はい。」
「私、夢が出来ました。」
「えっ?」
「私、先生みたいな先生になりたいです。」
「え……。」
「先生が、先生のお父さんみたいになりたいように。私は、先生みたいな先生になりたいです。」
「雨さん。」
「だから、先生。絶対に先生になって下さいね?」
とびきりの笑顔でそう言った。
先生も、笑顔で応えてくれた。
それだけで充分だった。
先生が笑ってくれた。
お守りを受け取ってくれた。
私にとってそれだけで今は、いっぱいいっぱいだった。
あんなに真剣な顔の先生に言えるわけなかった。
今の私のままじゃだめだ。
変わらなくちゃ。