【完】雨恋〜雨上がりの空に恋をする〜
7YEARS LATER

「雨~!早く出ないと遅刻するわよ~!」


「分かってる!あ、待って忘れ物!!」


「前日のうちに準備しておきなさいよ。初出勤で遅刻なんて笑い事じゃないわよ。」


「分かってるって!行ってきます!」


「いってらっしゃい、気をつけるのよ。」


「はーい!」


お母さんに急かされながら私は家を出る。


今日は、初めての出勤日。
4月7日。始業式。
私の教師生活開始の一ページ目。


高校1年の時、教師を夢見てから7年の月日が経った。
大学は、八津波先生と同じ白峰大学へ進学。
実習先は先生の働く白峰高校には行けず、母校へ。
そして今日、私は先生と同じ勤務先、白峰高校へと足を運んでいた。


やっと、今日。
先生と同じ場所に立てる。


はやる胸を押さえ、私は傘を差しながら走る。
やっぱり今日も雨。
っていうことは、先生に会える予感。


この7年間、一度も先生に会っていない。
だから、今先生が教師をしている事以外知らない。
あの時から7年経った今も、私は先生を想っている。


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