【完】雨恋〜雨上がりの空に恋をする〜
第一声は震えていて。
緊張、先生にまで伝わっていそうだ。
「なんですか?」
「あ、あの私……その。」
「どうかしましたか?小竹さん。」
「えっ。」
今、私の名前呼んだ?
うそ。なんで。
私の名前、覚えてるの……?
「名前、どうして……。」
「担当のクラスの子ですから、覚えるのは当たり前ですよ。」
そう言ってにっこり笑う先生を見て。
また、私の好きが加速する。
クラスみんなの名前を覚えてるって分かってるよ。
私だけじゃない、その他大勢と一緒。
担当のクラスじゃなかったら覚えてもらえてなかった。
そんなことぐらい理解してる。
でもね、覚えてくれてるっていう事実だけで。
こんなにも嬉しくなって、舞い上がっちゃうんだよ。
変に期待しちゃうし、あわよくばなんてバカなこと考えちゃう。
単純だし、バカだし、勘違い野郎だし。
それでもいいもん。
自分の脳内でくらい、幸せでいさせてよ。
「小竹雨です。」