君と僕の21日間


「あーーーーーー!」


靄を振り払うように、米をかきこんだ。






行こう。
行く以外ない。





食べ終わったお皿をシンクに置いて、なんとなく、普段はしないのに、とりあえず洗った。
洗い物が終わったら、顔を洗って、洗い立てのTシャツに着替え、靴下とジーンズを履いた。

家の鍵が付いたフックをジーンズにお気に入りのベルトと一緒につけた。

スマホをポケットに入れて、母親に出掛けると声をかけて外に出た。




夏休みが始まってから数週間ぶりの外だった。

日差しが眩しくて、ジリジリと肌が焼けるように感じる。

つい1年前は、この暑さの中、泥だらけになりながら、野球していたのに。それすら夢だったようだ。

いや、もしかしたら、今が夢なのかもしれない。

自分の人生で、同年代の身近な人が、それも付き合ったばかりの恋人が死ぬなんて、そんなことが起こりうるとは思えない。

そんな現実と向き合わなければならないなんて、考えたくもなかった。

だから、今はまだ夢の中なんだ。

だから、榛名から来たLINEの場所にだって、行こうとしてるんだ。
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