君と僕の21日間
『武石優くんへ
突然の手紙でごめんなさい。
小学生の頃からあなたのことが好きでした。
付き合ってください。
榛名美琴』
ピンクのペンで書かれたその文字は、女の子らしい字というよりも、大人な字だった。
母親よりも綺麗な字で、自分のことが好きと書かれてる事実にドキリとした。
「小学生?」
また小さく頷くのを見て、榛名美琴の小学生の頃を思い出してみた。
が、ほとんど思い出せなかった。
3クラスしかない小学校だったのに、同じクラスだったことがあるかないかも思い出せない。
唯一記憶にあるのは、小学6年の時の運動会だ。
紅白戦の最後のリレーで、同じチームだった。
最後のバトンを繋ぐのに走ってたのが榛名だ。
女なのに、速いな〜と感心してたらあと3mくらいのところで豪快にこけた。
どんどん抜かされて、ヤバイ!と思って、彼女が転けてる前まで下がってバトンを受け取った。
唯一記憶にあった彼女は、お世辞にも可愛いとは言えないくらい、涙と砂で顔がぐちゃぐちゃで、バトンを取りに来た俺の姿を見て顔を背けてバトンだけを手を伸ばして渡してくれた。