君と僕の21日間
すでに家の前には何台かの自転車が停まっている。
できるだけ壁際に停めて、敷地内に入る。
庭から回って、縁側から1階の勝の部屋に入るのがいつものことだ。

祖父母と一緒に暮らす勝の家は、瓦屋根の広い家だ。
見た目が古めかしくて嫌だと、昔遊びに行った時に勝の姉が嘆いていたが、自分の家の倍はあるだろう広さに、子ども心に羨ましさを感じていた。
よくかくれんぼをして、勝の祖父の部屋にまで入って叱られたものだ。
そういえば、叱った後には、必ず美味しいお菓子を出してみんなに配ってくれたあのおじいちゃんはどうしたんだろう。
年齢を重ねるにつれ、誰かの家に集まって遊ぶということの回数が減っていった。
昴とは変わらず仲良く、高校も一緒だけど、他は春休み以降まったく会っていなかった。

会いたいとか
遊びたいとか
そういう気持ちにならなかったことに今気づいた。
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