鬼女と呼ばれた女王。
泡鈴が涙を流しながら叫んだ。舜英の目にも涙が浮かんだが、流しはしなかった。

「舜英に罪があると言うならそれは生まれてきた事だ。この時代に、この国に、王族として、女として、ただ生まれてきた。それだけが、罪なのだ。」

泡鈴は震撼した。なんと非情な王なのかと。実の娘に対して、生まれてきた事が罪だと言う、そんな王を軽蔑すらした。

その時、これまで事の経緯を静かに見守っていた、舜英が口を開いた。

「泡鈴、あなたのその気持ちを知れただけで私は幸せです。ありがとう。」

泡鈴に、優しく微笑んだあと更に続けて言った。

「今、この国は大きな選択を迫られています。先日、貴方と母の故国である火国が大国、慎国#__しんこく__#に攻め入られ為すすべもなく属国となりました。」

突然の舜英の発言に泡鈴は目を見開いた。

「そ、そんなこと……慎国と火国は互いに不可侵条約を結んでいます………」

「慎国の王朝が変わった事が原因だと思います。先日、慎国内でクーデターが起こり火国と条約を結んだ、慎王朝は倒れ今は新たな王朝が立ちました。直に国名も変わるでしょう。」

「舜英の言うとおりである。火国は属国となった。慎国の新たな王朝は、かなり武力的で暴力的な王朝。この国にもいずれその火の粉は振ってこよう。故に舜英は、殺さねばならぬ。」

「い…意味が…わかりません。何故それが舜英様を殺す事になるのですか。私には、わかりません!!」

泡鈴が涙を流しながら叫んだ。

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