あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。

遠く離れすぎているから?
あの恐怖を味わっていないから?
知らないから?

だからそんなこと言えるの?
多分それは、ここに限らずそうなのだと思う。

だからって、そんなこと言われて嬉しいわけがない。許せるわけない。

「違う!」

ザワザワと騒ぐ中で私の声が響き渡った。

「私は汚染されて脚がなくなったわけじゃない。それに、福島はいいところだよ!私の大好きな街を、侮辱しないで!」

ハッキリと、心のままにそう言えた。
何を言われるのか怖かった。
静まり返った更衣室。
もうすぐで授業が始まるということも忘れてしまいそうだった。

「…ご、ごめん」

「ごめん」

「ごめんな」

謝ってくれた。心の底から安堵した。
謝ってくれるこの人達と、仲良くなりたいと思った。

「いいよ」

そう言って私たちは元のように着替えを続け、体育の授業に向かった。

目の前で楽しそうに運動をする皆を羨ましい目で見ながら、授業は終了した。
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