あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
「あー、なんかちょっとなぁ」
「わかる!ごめんって言ったら、すごい満足そうやったのがちょっとムカついたー」
「ほんまそれな!気持ちわるっていうの、あれ別に岸元さん本人がってわけちゃうし」
「ほんまにー。なんか短気よな。半分冗談がかってんのに、やっぱ、ここ出身じゃないから伝わらんのかな」
「なんか、自分は特別です、って目でおるよな。今日の体育のときもそうやったし」
「それな。教室でもさ、見た?窓の外向いてる時の顔!」
「見た見た!話しかけんなオーラが出てて、こっちも話しかけにくいよな。馴染む気あんのかなぁ」
「うん。あと話し方!あれ福島弁なんかな?」
「ほんまそれ!福島弁って標準語に近いんかな?」
「ちょっと発音ちゃうよなぁ!」
「てか、なんであの子は生き残ったんかな。
あんだけたくさんの人亡くなったのに」
「ほんまにー!もうちょいカッコイイ人とかが来て欲しかったわぁ」
盛り上がっているその空間に、運悪く私が存在する。
漫画の世界かと思った。
コソコソと話しているつもりのことが、全て丸聞こえ。