あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
私の足は、トイレの床に崩れていた。
白く綺麗な洋式のトイレに思いっきり吐いた。
嗚咽と涙と嘔吐。
呼吸のスピードも上がる。
もう嫌だ。
どうして私だけこんな思いをしなければいけないの。
せっかく頑張ろうと、再スタートしようと思ったのに。
長いズボンの隙間、足首のところから見える銀色の脚を叩いた。
「お前のせいだっ…。お前のせいでっ…!」
何度も何度も叩いた。
福島に転校した時は脚があった。
ちゃんと。血色のいい右脚が。
今、叩くその脚は、痛みなどひとつも感じなくて。手だけに、痛みが走る。
「くぅっ…ふぅっ」
あの日の帰り道から、ようやく立ち上がった。
やっと前を向いたんだ。
なのに。
たった二日で、ほんの一瞬で、私の約一年の努力が、生きてきた意味が。
粉々に打ち砕かれた。