あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
「うん……」
しんみりとした空気が俺たちを包む。
他人事のように、被災した地域のことを見ている人々がいるのは事実だ。
俺も実際、詳しい事はほとんど知らないし、覚えてもない。
当時、まだ小学生ってこともあったけど、事故が起こるまで原子力発電って言う発電方法があることすら知らなかった。
でも、今回被災したのがたまたま、あの場所だっただけなんだ。
俺たちが、行動を起こさなければ、いずれは別のところだって危険な被害が及ぶかもしれない。
原子力発電が悪いわけじゃないと思う。
あれだって、日本のために、俺たちの暮らしを支えるために、できたものだから。
火力発電だけに頼ってしまったら、地球規模で考えると今より更に環境に影響が出るだろうし。
ただ、もっともっと安全性を高めたり、万が一のことが起こった時に、どう素早く対処が出来るか。
その仕事に関わる人達だけが考えればいいって問題じゃない。
いつ自分たちに何が起こるか分からない。
もしかすると、次に被害が及ぶのは自分の所という可能性だって十分に有り得るんだ。
もし被害にあった時、あの時と同じような事故が起こったとしても、俺らに責める権利はほとんどないかもしれない。
人任せにして行動を起こさなかった自分にも責任があるだろうし、電力に頼りすぎている俺ら人間も悪いと思うから。
これは全部俺の勝手な意見だ。
だけど、何にせよ、きっと俺たちは、もっと色々なことに、多様な面から、真剣に向き合うことが必要なんだ。
その土地を愛する人が、一人でも悲しい思いをすることがないように。