あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
私も再び台所へ向かう。
おばあちゃんのために、私たちとは別に、お粥を作ってお盆にのせた。
それを寝室に持っていく。
「おばあちゃん、お粥できたよ」
そう言うと、おばあちゃんはゆっくりと布団から起き上がった。
「ごめんねぇ、今日はてつぁ、てつゃ、手伝えなくて…」
「てつぁ?おばあちゃん本当に大丈夫?気にしないでいいから、ゆっくり休んで」
「ああ、ちょっと、ろりぇ…呂律がまわらなくなっちゃったみたい。ありがとう、いただきます」
おばあちゃんは、スプーンでゆっくりとお粥をすくった。
私はそれを見て、また台所へ戻ろうとした。
カタンッ!!
振り返ると、お粥がのっていたはずのスプーンが床に落ち、お粥が散らばっている。
「大丈夫!?」
すぐに近寄って、こぼれ落ちたお粥を片付ける。
「ご、ごめんなさい。手が痺れて…」
「どうしたの?いつも健康なおばあちゃんが…。病院、行く?」
「ね、寝たら治るわ。それに光希歩ちゃん、まだ外に出れないんでしょう?」