あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
***

次の日。
朝からお葬式へと急いだ。
汚れていないと思い、昨日と同じ服装で外に出る。
人の視線が刺さるのが怖くて、道の端により、海光に隠してもらうように歩いた。

やっとついたそこに、昨日と同じようにして佇む叔父がいる。

今日の叔父は何も言わず、私たちが来たとわかるとすぐに中へ入っていった。

今日がおばあちゃんの顔を見れる最後の日。
そうは思いたくなくても、時間が私をそうさせる。
止まってと、明日が来ないでと、何度願っても叶わない。

顔のところだけ棺を開けると、安らかに眠る祖母がいた。
私たちを守ってくれた大切な人。
清々しいほど深く眠っている祖母を目の前に、また涙が流れた。
私の人生は涙ばかりだな、と思いながら。

海光は今日ばかりは我慢できなかったらしい。
声を上げて泣いていた。
うんともすんとも言わない祖母に向かって「おばあちゃん、おばあちゃん」と。

叔父はただ、私たちを眺めていた。
冷たくも悲しくも喜びもない表情で。
< 153 / 240 >

この作品をシェア

pagetop