あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
ついに、火葬のためおばあちゃんの周りを花で埋めつくした。
と言っても、三人しかいないため、既にたくさんの花で埋め尽くされていた。
最後に私は、おばあちゃんが大切にしていたオレンジ色のギンガムチェックのエプロンを棺に入れる。

「…え?それ、確か私が小学生の時に…」

叔父さんがポツリと言ったあと、我に返ったかのように、大きな手を自分の口の前に当てていた。

「それ、おばあちゃん、めっちゃ大事にしてたで。ずーっと着けてたし」

もしかして、と思った時には既に海光が言葉に出していた。

すると今まで無表情だった叔父さんの顔は歪んだようになり、瞳が潤んでいるのがわかった。

私たちに見えていなかっただけで、本当はものすごく辛かったのかもしれない。
我慢していたのかもしれない。
きっと、愛していたから、捨てられたと思って悲しかったのだろう。
信用していたから、裏切られて辛かったと。

…私と同じなんだ。

誰しも、家族が亡くなるのは…残されるのは、辛いことなんだ。

知ろうとしなかったからわからなかった叔父の心。少しだけわかった気がした。

そうしておばあちゃんは灰となった。
遺骨を骨壺に入れる時の叔父の顔を見て、最後に祖母と叔父の心が通じ会えてよかったと思った。

『本当は大好きだったんだ』

私の中で叔父と祖母の声が重なって聞こえた。
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