あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
***

もっと長くかかると思った時間は、ほんの三十分ほどであっさりと終止符を打った。

それが意味する結果は、私たちにはわからない。

翔琉のお母さんが叔父さんにぺこりと頭を下げてこちらへ近づいてくる。
そして第一声がこれだった。

「お姉ちゃんたちの叔父さん、めっちゃええ人やな!」

固まっていた筋肉がいきなり溶かされたように拍子抜けした。

「うふふ。大丈夫よ。許可を頂いたわ」

「ほんま!?」

耳にした途端、海光が歓喜の声を上げた。
私もその事実が信じられなくて、開いた口は塞がらない。

「翔琉から聞いた情報より、めっちゃいい人やったで!?お金のこととか、これからのこととか、二人のこととか、うちに迷惑かからんか、とか。食費まで支払うって言ってくださったんやで?そんくらい別に、貧乏じゃないからええのになぁ」

そこに叔父さんがやってきた。

「別に、遠慮せず言ってくれたら良かったんだ」

ポーカーフェイスは変わらなかったけど、叔父さんは本当は優しい人なのだと知ることができて少し嬉しかった。

あれだけ叔父に敵意を向けていた海光が「ありがとう叔父さん!」と嬉しそうに言ったことも微笑ましかった。

叔父さんが私の脚のことを知ったかどうかはわからない。
でも、たったこの二日間で、叔父さんは私たちの家族になれた気がする。

少し残念なことに、叔父さんはその日中に東京へ帰っていった。
時が進むのは、本当に早いと。
また少し痛く感じた。
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