あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
時刻は午前十一時半頃。
千佳さんは買い物に出かけ、私は一人、広い家のなかを見渡していた。
何もしていないのは気が引けるため、自分の出来ることを探すため、家中を歩き回る。
掃除機は既にかけ終わっているし、洗い物は食洗機行きだ。アイロンをしようとするも、かけるものもない。
しばらくウロウロしていると、風呂場にたどり着いた。
浴槽を覗いてみると、掃除をした形跡はない。
私はすぐにブラシと洗剤を手に取った。