あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
隅々まで丁寧に擦った。
それでも浴槽は案外すぐに終わってしまい、続いて床、浴室用ラック、シャワー、鏡と、いつの間にか夢中になって掃除をしていた。
おかげで浴室はピカピカ。

少し満足しながら、他に掃除はできないかと、洗面所に進出した。
水滴跡ひとつ残らないように、スポンジで汚れを落とした後、乾拭きをする。
範囲が狭いため、そこはすぐに終わってしまった。

次に向かったのはキッチンのシンク。
朝ごはんの残りカスがまだちらほらと付着していたため、必死で擦りあげる。
私の手には、柑橘系の洗剤の匂いが染み付いていて、それを嗅ぎすぎた私の嗅覚は狂いそうだった。
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