あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。

鼓動がどんどん速くなる。
地震で家の中にいると、本当にガタガタと音がなるなんて、知らなかった。
いや、そんなこと、知りたくもなかった。

また起こった。
止まってくれないトキのせいで、今日が訪れてしまった。

ガシャン!!

パリパリパリン!!

何が落ちてきたかなんて、見なくても分かる。

その破片は、私の偽物の脚と、左手をかすった。
右脚をかすったガラスの破片を見て、私は身を守る自分が馬鹿らしくなった。

そうだ。ずっと死にたかったじゃないか。
やっと到来した。
皆と同じ方法で、私を殺して…。

頭に浮かぶのは、もう顔が曖昧になった母と、父と、本物の海光と、アズちゃんと、みんなと……カク。

そして何故か、三年生のカクと、四年生になれた海光が重なった。

カクとそっくりになった海光。
海光はどこに行った?
私の大切な妹は……。

『明日潮干狩りに行くねんでー!』

記憶の回路を辿って聞こえたその声に、私は呼吸が止まってしまいそうになった。
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