あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
この際、お母さんと言われたことなんてどうでもよかった。
近くの建物?
もし屋上の高さが、低かったら。
それに、私は覚えてる。
丸ごと流れてきた家々を。
そんなの…ダメ…!!
「駄目です!!逃げて!もっともっと遠くの高いところに!!近くの建物なんて、そのまま流されるの!ねぇお願い!!早く逃げて!みんなが…海光が死んじゃう!!…嫌だ。お願い。早く、早く逃げてぇ!!」
生暖かい雫が、頬を濡らしていた。
今すぐにでも海光のところへ行きたかった。
でも今、海光の安否を確認するには、この電話一本しかない。
だが、私と海光を繋ぐそれは、一切反応を示さなかった。
ザザザと、テレビの砂嵐のような音が聞こえる。
目の前が真っ暗になった。
何も見えなかった。
「い…や……嫌だあぁ!!海光ぃ!!」
「光希歩ちゃん!?」
突き刺さるような叫び声に驚いたのか、帰ってきたらしい千佳さんが私に近づいてきた。
「海光!だめだよ!死んじゃやだ!!やめて、私の大事な家族をこれ以上奪わないでぇ!!私を置いていかないでえ!!」
近くの建物?
もし屋上の高さが、低かったら。
それに、私は覚えてる。
丸ごと流れてきた家々を。
そんなの…ダメ…!!
「駄目です!!逃げて!もっともっと遠くの高いところに!!近くの建物なんて、そのまま流されるの!ねぇお願い!!早く逃げて!みんなが…海光が死んじゃう!!…嫌だ。お願い。早く、早く逃げてぇ!!」
生暖かい雫が、頬を濡らしていた。
今すぐにでも海光のところへ行きたかった。
でも今、海光の安否を確認するには、この電話一本しかない。
だが、私と海光を繋ぐそれは、一切反応を示さなかった。
ザザザと、テレビの砂嵐のような音が聞こえる。
目の前が真っ暗になった。
何も見えなかった。
「い…や……嫌だあぁ!!海光ぃ!!」
「光希歩ちゃん!?」
突き刺さるような叫び声に驚いたのか、帰ってきたらしい千佳さんが私に近づいてきた。
「海光!だめだよ!死んじゃやだ!!やめて、私の大事な家族をこれ以上奪わないでぇ!!私を置いていかないでえ!!」