あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
***
一ヶ月後。六月最後の土曜日。
地面からジリジリと伝わる蒸し暑い気温の中、綺麗な長ズボンを履いて、千佳さんと共にオーディションへ向かった。
人とは顔を合わせないよう、下を向いて。
長い髪の毛のカーテンを下ろして。
真っ直ぐ進んだその先には、小さな駅とロータリー。
その脇に見えるのは、以前祖母と住んでいたあのマンションだった。
無性にあの部屋へ戻りたくなった。
祖母がまだあそこで待っている気がしたから。
本当に歌手になるために行くのかと、また自分の心に問いかけみる。
もう一人の私は返事をしないまま電車に乗り込み、懐かしい家は景色と共に流されていった。
一ヶ月後。六月最後の土曜日。
地面からジリジリと伝わる蒸し暑い気温の中、綺麗な長ズボンを履いて、千佳さんと共にオーディションへ向かった。
人とは顔を合わせないよう、下を向いて。
長い髪の毛のカーテンを下ろして。
真っ直ぐ進んだその先には、小さな駅とロータリー。
その脇に見えるのは、以前祖母と住んでいたあのマンションだった。
無性にあの部屋へ戻りたくなった。
祖母がまだあそこで待っている気がしたから。
本当に歌手になるために行くのかと、また自分の心に問いかけみる。
もう一人の私は返事をしないまま電車に乗り込み、懐かしい家は景色と共に流されていった。