あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
…ザァァ───。
私の銀色の脚が隠れたところに、後ろから穏やかな波の音が聞こえてきた。
『カク見づげだ!』
『うわ!見づがっだぁ』
動かない体の後ろからアズちゃんとカクの楽しそうな声がする。
振り向きたい。
そっちへ行きたい。
──────ゴォォォ…
後ろにあった穏やかな波の音が、一変して聞こえてきた。
背筋が凍りつく。
『次、あっぢ行ごー!』
『おー!』
声はどんどん遠ざかる。
待って。
ダメ、そっちに行かないで─────。
『なぁ、岸元さんどう思う?』
私の目の前は真っ暗で、面接官ではなくあの女の子たちがいた。
『あー、なんかちょっとなぁ』
やめて。
嫌だ。
聞きたくない!
耳を塞ぎたいのに、体は動かなかった。
『てか、なんであの子は生き残ったんかな。
あんだけたくさんの人亡くなったのに』
『ほんまにー!』
……現実を見せられた気がした。
あなたはお先真っ暗なのよ。
何をやっても無駄なのよ。
結局、こうなる運命が待っているのよ。
私には、そう伝わってきたんだ。