あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
「私は…歌手になる。歌手になって、私のように辛い思いをしている人の希望になりたい。前に進み出す人の道しるべになってあげたい」
少し見上げた翔琉の瞳からは、窓から射し込む光に照らされた、純白の涙が流れ落ちていた。
「俺も、そんな光希歩の力になりたい」
涙は流れつつも嬉しそうに笑う翔琉に、心の扉が叩かれた。
中から何度も叩かれる、新しい綺麗な扉。
私はこれを…知っている。
開けたら二度と閉まらないことをわかっていても、私はその扉に手をかけた。