あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。

本気の夢



翔琉やみんなに支えられ私は再び、二〇二〇年、三月始めにあるオーディションに応募した。

今回は、その場で合否がわかるシステムのオーディションではなく、後日結果が郵送される事務所を選んだ。
これも以前の結果を踏まえて決めたこと。

そして、たくさんのことを練習した。
本気でなりたいものを見つけたら、なんでもできるのだと、自らも驚くほどだ。

だってその内容は、私が最も苦手だった、外に出て周りを見て、誰かと会話をすることだから。

恐怖だったし、ハッキリ言って嫌だった。
でも、夢のためにと思うと、どこからか勇気が湧いてきて逃げずに前へ進み出せたんだ。

新たな発見もたくさんあった。
ノリのいい大阪の人だからか、近所のおばさんたちの集まりに挨拶をすると、「あー、天野川さんのとこの…。もう、ちょっと聞いてー!」と世間話に混ぜてもらえた。

楽しい。
早く明日が来ないかなぁ。

夢を見つけた私の考え方は、ほんの少し前までの自分と百八十度変わっていた。
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