あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。

持ち帰った一枚の布を使って、丁寧に作り上げたのは手作りのお守り。
ベタだと思いつつも手紙を入れて縫い終えた。

その手紙は決してラブレターのようなものではなく、翔琉の夢が叶うようにと願って綴ったもの。
恐らく、これを見つけるのは何年も先か、もしくは一生開けないかもしれない。

手作りは引かれるかなと内心ドキドキしていたが、そんな心配は無用だった。

翔琉は心情が表に出やすいからよくわかる。
心の底から喜んでくれたのがしっかりと伝わってきた。

次の日、翔琉がお守りを付けた鞄を嬉しそうに背負って出て行く姿をよく覚えている。
< 205 / 240 >

この作品をシェア

pagetop