あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
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三月十日。
翔琉はスマートフォンを片手に時計をチラチラと見ながら家中をうろつき回っていた。
私も、チャイム音が鳴るか、もしくはポストに投函された音までも聞こえるように耳をすます。
秒針がきっかり午前十時をさした瞬間、翔琉が物凄いスピードで画面上に指を滑らせた。
そっちも気になって、翔琉の結果を見に行く。
「あー!なんか混雑してるんやけどー!はよ動けー!」
画面上部にある青色の線が三割くらいのところで止まっていた。
翔琉が無駄にスマホを上下に振りまくると、詰まっていた青い線がすぐに端まで到達し、ページが開かれる。
画面を見ずに、慌てて廊下に逃げた翔琉。
その直後、どちらかわからない呆然とした表情の翔琉が中に入ってきた。
その様子に、千佳さんは目をそらす。
「………受かった。え?受かったで、俺」
その言葉を耳にした瞬間、一気に顔色が明るくなった千佳さんが、翔琉に抱きついた。
海光も「翔琉くんすごーい!おめでとう!」と拍手する。
私も夢中で手を叩いた。