あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
胸の奥がぎゅうっと締め付けられるように暖かかった。
嬉しい。
大好きな人が、夢に一歩近づけたことが。
自分のことのように嬉しかった。

「わ、私も!ポスト見てくるね!!」

まだ来ていないことはわかっていても、念の為外に走り出た。
簡単に。素早く。

そしてそこには、新聞紙と一緒に大きな封筒が詰め込まれていた。
宛名にはしっかりと『岸元光希歩様』と書かれている。

封筒だけを、郵便受けから取り出し、その場で破いてそうっと中身を取り出した。

一番上に入っていたのは白く薄い紙。
一瞬空を見上げ、目を閉じ、深呼吸をしてから、そこに目をやった。

『否』

視線を落とした瞬間、目に入ってきたのはその文字。

頭が真っ白になった。
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